裁断済

何気なく、先日発売された私の本「世界一わかりやすいObjective-Cプログラミングの授業」で検索して(ググって)みたところ、某オークションサイトでつぎのようなものを発見しました。


世界一わかりやすいObjective-Cプログラミングの授業★裁断済

これって、やっぱりアレですか? いま流行の「自炊」とかいうやつ。まあ、たぶんここを読まれている方のほとんどはすでにご存知のことと思いますが、「自炊」とは何かを一応解説しておきますと、自分で食事を作る……あ、ウソ、ごめんなさい。いやウソじゃないけど、やっぱりウソです。すいません。

最近は「本をスキャンして電子データ(PDFなど)にすること」を「自炊」と呼ぶらしいです。どうしてその行為を「自炊」と呼ぶのかは、どこかで聞いたことがあるような気がしますが忘れました。忘れたということは、たぶん大した理由じゃなかったからだと思います。

さて、「自炊」を効率よくやるためには、せっかく製本されている本をばらばらにする必要があります。ばらしてしまえば、オートシートフィーダーの付いてるドキュメントスキャナで一気にスキャンすることができるわけですから。で「裁断済」というのは、おそらく(たぶん、きっと)、「スキャンできるようにばらした本ですよ」(というか、もうすでにそれは本とは呼べないような……)という意味なのでしょう。

私の手元には、この本の校正に使ったPDFファイルがあります。本になったものとまったく同じPDFファイルこそありませんが、それとほぼ等しい内容のものも手元にあります。聞いたところでは、いまどきは印刷所への入稿もPDFで行っているんだそうで、つまり「自炊」するということは、「PDFで入稿→印刷→製本→裁断→スキャンしてPDF」というおそろしく回りくどいことをやっていることになります。電子書籍が普及すれば(するのかなあ?)状況は変わるのでしょうけど、いまはやっぱり過渡期ということでしょうか。過渡期がいつまで続くのかはわかりませんが。

さて、著者という立場としては「本を裁断するなどという暴挙は断じて……云々」などと言わないといけなのかも知れませんが、そういう私自身、じつはかれこれ2年ほど前から「自炊」をやっていたりするわけで、先日、ドキュメントスキャナのカウンタを調べてみたら10万枚を超えていたりするわけで、それはつまり1000冊近くをスキャンしていたことになるわけで、まあ、何と言いますか、大量の本を家に置いておく場所が無いので仕方なく「自炊」の世界に足を踏み入れてしまいました。べつに颯爽とiPadを持ち歩いて、格好よく外で本を読むため、とかそういうことをしたいためではありませんでした。まあ、それ以前にiPad持ってないですし。

そうそう、裁断した本はさすがにオークションで売ったりはしていません。古紙回収に出しています。