RAID 5で

某所にて。久しぶりに聞きました、このセリフ。

「サーバはRAID 5でバックアップしてますから大丈夫です!」

いや、だからさ、RAIDはバックアップじゃないってば。しかも、よりにもよってRAID 5ですか。そのサーバは、どう見ても買ってから7、8年は経っているDELLPowerEdgeシリーズ。どうせ保守契約なんかしてないんだろうなあ。って言うか、そんな古いサーバ、保守契約できたっけ? RAIDでディスクの冗長化してるのはいいとして、ディスクやRAIDコントローラなんかが壊れたらどうするんだろ? 高い金出して修理してもらう? 部品が無くて修理不能になったらどうする? 「RAID 5でバックアップ」と胸を張っていたくらいだから、本当のバックアップなど取ってなさそうだし。

そう言えば、今から数年くらい前までは、RAID 5が結構流行ってましたね。単純にミラーリングするRAID 1なんかと違って速いらしいし、容量的にも有利だし、それに「なんかよくわからないけど凄そう」だし。しかし、世の中そんなうまい話があるわけではなくて、実際には理屈どおりにうまく動かないケースが続出、みんな痛い目に遭って、RAID 1(やRAID 1+0)に移行している、というのが現状ではないでしょうか。「RAID 5のほうが容量的に有利」とは言っても、いまどきはディスクも安いですし。

ところで数年くらい前から、個人で買える数万円程度の値段のNASが出回っています。私も訊かれたことがあります。

RAID 5NASとか買って、家の中のサーバにしようかと思ってるんだよね。どう思う?」

私は止めましたよ。「RAID 5は止めとけって。何かあっても面倒見ないよ」と。RAID 5の本質的な問題点のほかにも、この手の安価なNASの場合、別の問題点もあると思います。たとえば、NASのどこか(ハードディスク以外の部分)が故障したとします。故障したものは修理できればいいのでしょうけど、故障した時点で修理が可能なのか、また費用がいくらかかるのか、という問題があります。安価なNASは保守契約も無いでしょうし、そもそも家庭用の機器で保守契約というのも。「そんなのRAID 5だってRAID 1だって、修理に費用がかかるのは一緒なんじゃないの?」と思われるかも知れません。しかし、RAID 1ならば、ディスクをNASから取り出してPCにつないで、内容を読み出すことが可能(なことが多い)でしょう。故障したNASのハードウェアは捨てることになりますが(修理費用を考えたら、捨ててもたぶん損は出ない)、データは救えるはずです。でも、RAID 5だとそうは行きません。自分でデータを救うのはきわめて困難です。で、私の言った「何かあっても面倒見ないよ」につながるわけです。

インプレスINTERNET Watchなどを眺めていると、安価なNASの製品紹介記事がときどき載ります。「RAID 5も可」などと記事に書いてあります。そして、同じページにハードディスクのデータ復旧サービスをしている会社の広告が載っていたりします。なかなか商売がうまいなあ、と思ってしまいます。