祭に乗り遅れた私

いや、例の、沖林正紀さんという方の書かれた記事「C/C++のポインタの機能--変数の場所(アドレス)」についてです。知らなかった方はこの記事のコメントを参照してください。

で、いまさら「この記事のここがヘン」みたいな話をしたって仕方ないので、ここはちょっと見方を変えて、皆さんが疑問に思っていることについて、ちょっとばかり書いてみようか、などと思いました。

●著者はとりあえず置いておいて、編集者や校正者は気づかなかったのか?
あちこちでこんな疑問が呈されています。私はウェブの記事は書いたことが無いので実際のところはわかりませんが、本や雑誌の原稿で、編集者さんから「ここ、間違ってるんじゃないですか?」とか「ここは別の表現にしないと読者は誤解するかも知れませんよ」とか、そういう指摘を受けたことは一度もありません(ん? 一度くらいはあったかな?)。少なくとも私がお付き合いさせていただいた編集者さんから、内容についての意見はもらった記憶がありません。書いた原稿がそのまま載ってしまう世界でやってきました。
著者としては、これはかなりキツいです。あれこれ意見を言ってくれたほうが助かるのですが、編集者さんもいそがしいので、いちいちそこまで付き合っていられないのでしょう。もちろん内容の正確性に関しては著者が全責任を負うことになりますから、そういうもんだと言えばそういうもんなのかも知れません。
というわけで、私の経験では、編集者は誤字脱字レベルのチェックはしても、内容の正確性までは見てない可能性が高いと思います……というか、内容が正しいかどうかの判断ができないのではないか、と思います。

●動かないコードを載せてどうするんだ!
(いまは直っていますが)最初は「Segmentation fault」で落ちる可能性の高いコードが記事に載っていました。「著者は自分で動かしてもいないコードを載せたんかい」とか、さんざんな言われようをされていますが、まあ、それはたぶん正しいです。
ただ、私も動かないコードが本に載ってしまう一歩手前まで行ったことがあります。もちろん原稿を編集者さんに渡すときには、動くコードをコピーして原稿のテキストファイルに貼り付けて送っていますから、動かないことは基本的にはあり得ません。が、しかし、それが校正用のゲラになったときに確認すると、1行すっぽり抜け落ちていたりすることがあるのです。送った原稿をあわてて確認しても別に抜けていない。制作段階で抜けちゃったようなのです。こんなことが一度ならずありました。
これは大変危険なので、ゲラ……と言っても昔の活版印刷ではありませんから本来の意味での「ゲラ刷り」ではなく単なるPDFファイルなので、そこからコード部分をコピーペーストして、テキストファイルに貼り付けて、コンパイルして実行して動くことを確認する、という面倒な作業を延々とやるはめになってしまいました。
まあ、この記事の場合には、編集段階で抜け落ちたような感じではありませんから、もともとの原稿からしてダメダメだったのでしょう。

それはともかく、「ウェブの記事って本と違って簡単に修正できていいなあ」などと思ってしまう私。