交換機

「電話の交換機を買って付けてみたんだけど、なんかいまいちなんだよね」
「?」
「使い勝手が悪いというか……」
「??」
「なんか故障しているような感じでもあるし……」
「???」
「こんど見てくれないかなあ」
「あのさあ」
「ん?」
「それって、職場かなんかの話?」
「なんで職場の話になるわけ?」
「だってさあ」
「家のだよ、家の」
「家の……交換機……?」
「そう。前のヤツが調子悪くなったんで」
「どんなふうに」
「ときどき切れたり、雑音が入ったりするんだよね」
「で、交換機?」
「そう」
「お前ん家、前から交換機なんか使ってたの?」
「とにかく、今度見てくれよ」

最後まで話が見えませんでした。だって、家で「交換機」とは。いや、そういうことも無いわけでは無いかも知れませんが、その人物の2Kのアパートで、いったいなぜに「交換機」などが。いや、隠れ「交換機マニア」で、電話の交換機をたくさん収集する趣味があるのかも知れませんが、だったら人に訊かないだろうし。

その後、数日間考えてやっと答えらしきものに気づきました。そいつが言った「交換機」とは、つまり、「調子悪くなった今の電話機と交換するために買った新しい電話」ということらしいということに。

その昔、「ハードディスク」を「ハード」と呼ぶ人(いまでもたくさんいますね)とやりとりしていて、まったく話が見えなかったとき以来の衝撃でした。日本語って難しいですね。